ここで記載する「歩切」は以前は有ったのですが、現在は違法行為として国土交通省が根絶に向けて動いていると一般財団法人 経済調査会様から連絡がありました。こちらに国土交通省から内容を期したPDFが公開されています。
今後は工事の品質確保のため「歩切り」を行わずに設計によって算出された価格がそのまま落札の上限となるそうです。
以下、違法行為として根絶に向けた方向で進むようです。
落札予定金額を探るには「正確な設計金額」と「落札予定金額を導くための掛け率」の2つが必要になります。
まず正確な設計金額を導くためには分析型の積算を行う必要があります。過去の実績を基にした統計型の積算では単価1つ1つに誤差があります。
分析型にも誤差があるのですが、きちんと積算できていれば理屈上誤差はなくなります(四捨五入などの端数処理でわずかに出る程度です)。
これに対し統計型はあくまでも過去の実績、燃料費の急激な変動などには追いつけません。
経費率の計算もそうです。計算結果だけを基にして「50%」などとしていると、細かい補正に追いつけないばかりか、直接工事費の金額によって変化する経費率についていけないのです。
経費率は一定ではなく、直接工事費によって変化する。また工種によって経費率が変化することにも対応できません。
とりあえず正確な設計金額を知る必要が有るのです。そして、設計金額が判れば後は「一定の掛け率により落札予定金額が定められている。」そう考えてかまわないはずです。
なぜなら発注者は積算のプロではありません。発注者の担当者が積算のプロです。発注者は担当者が積算した金額に対して前回とほぼ同じ掛け率で落札予定金額を決めていると考えたほうが自然です。
「この工種は経費率が高いから、掛け率は低めに」なんてことはあまり考えにくい。中には居るかもしれませんが・・・。
と言う事で前回とほぼ同じ掛け率を使用しているという前提で、話を進めます。
掛け率を探るにあたって、探りやすい場合と探りにくい場合があります。
違いは単純な話で、工事の内容が「擁壁だけ」「舗装だけ」と言ったような場合です。実際に擁壁だけと言った工事に出くわすことはありませんが、過去に実績のある工種だけで構成された工事というのに出くわすことがあります。
この場合「分析型」による詳細なデータと「過去の実績を基にした統計型」による信頼度の高さを併せ持っています。
このとき、入札の前と後で、入念に積算を行います。入札前に積算を行うのは当然ですが、入札後になるとそれまで明らかになっていなかったミスが判明します。そのミス修正し、正確な設計金額を導き出します。
そして、入札の動向を基にして概ねの落札予定金額が判っているはずです。発注者によっては落札予定金額を公開している場合もあります。
この落札予定金額と設計金額を率で計算すると毎回ほぼ一定の数字で計算されていると思います。この数字を落札予定金額を導くための掛け率と考えて良いのではないでしょうか。
ただし、注意点があります。それは端数処理です。
たとえば設計金額に掛け率を掛けた結果が「1,235万」だったとします。この結果に対して、発注者が落札金額を「1,240万」にするか「1,230万」にするか「1,233万5千円」にするかはわかりません。そこは気分次第ということになるでしょう。